琉球大学フォークソングクラブ(RFC)存亡の危機?

 といってもサークル名の話し。たしかF原さんが部長の時だったと思うけど、「いまどき『フォークソングクラブ』なんてサークル名はダサいのではないか。もっと時代に合ったサークル名に改称すべきではないか」というような問題提起をしたことがありました。当時(80年代はじめ)は、いわゆる「ニュー・ミュージック」全盛といった時代で、「フォーク」というジャンル自体がいわば前時代の音楽、ダサい音楽の代名詞みたいなイメージがあったわけです。そんな、当時の時代背景もあって、けっこう若手部員(?)の中には、サークル名改称に積極的な同輩も多く、前述の問題提起となったのです。もちろん、集会等で正式に提案したわけではなく、あくまでコンパか何かの時の軽い話題としてぶつけてみたわけです。
 それに対するF原さんの見解というか反論の詳細は、今ではもう忘れてしまったけれど、話しのキモは「変える必要もないし、変える理由もない」ということだったと思います。その時は「F原さん、アタマ固いなあ・・・」なんて思ってしまったのだけれど、今思えば「さすがF原さん」と、その慧眼の鋭さ、深さに感服するしかありません。
 「フォークソング」という言葉が喚起するイメージは、おそらく時代によっても、人によってもきっとさまざまであろうと思います。このように、使う時代、あるいは使う人によって意味や定義が定まらない言葉というものは、コミュニケーションの手段にはなかなかなり得ません。これに対して「琉球大学フォークソングクラブ」という名称については、「トマトは何でトマトという名前なのか」と問うことに意味がないのと同様、「琉球大学フォークソングクラブ」は「琉球大学フォークソングクラブ」という名称以外にはあり得ない、そんな気がするのです(なんのこっちゃ?)。
 というわけで、そのときの改称論議は議論らしい議論にもならず「却下」ということになったのだけれど、ちょうど時期を同じくして、僕らと親交のあった沖縄国際大学フォークソングクラブは「沖国ニューミュージッククラブ」という名称にあっさりと改称してしまいました(ネットで調べたところ、現在もこの名称で活動しているようです)。そのくらい当時の「ニューミュージック」という「新語」には、とにかくハイカラで魅惑的な響きがあったのです。ただ、改称派だった当時の僕でさえも「ニューミュージック」という言葉については、正直なところ多少の違和感を禁じ得ませんでした。
 あれから20数年・・・、今では「ニューミュージック」という言葉はすっかり廃れてしまった感があります。それに代わる「J-Pop(これもすでに古い・・・)」なんて言い方も「なんだかなあ」という感じ。仮にいま、琉大フォーククラブが「琉大J-Popクラブ」みたいな名前に改称してしまったら、僕にはまるで生まれ育った村がダムの底に沈んでしまったような、帰るべきふるさとがなくなってしまったような、そんな深い喪失感に陥るであろうと思うのです。
 精神論で語るのは僕の好みではないけれど、その意味では、ずっと「琉球大学フォークソングクラブ」というサークル名を守ってくれた後輩たちにはほんとうに感謝です。それから現役の後輩たちに対しては、改名なんて早まったことはしないよう、切にお願いする次第です。