セッションバンド(1) Tよみちゃんバンド

 以前述べたとおり、僕らが在籍していた頃の琉球大学フォークソングクラブ(RFC)では、同一メンバーが複数バンドに所属するいわゆる「かけもち」を禁止していました。ただし、その禁則が及ぶのは「正式バンド」だけで、たとえば部内や春合宿などの時に、スポット的、瞬間的に部員同士がユニットを組むのは全然自由でした。僕らはこれを「セッションバンド」と呼んでいたのです。
 表記の「Tよみちゃんバンド」もそのひとつ。これは同期のO山が、キリ短で1年後輩だったTよみちゃんのことをそれはそれは気に入り、なんとかお近づきになりたいと苦心の末考えたアプローチが、Tよみちゃんといっしょにセッションをやるという方法だったのです。
 そのようなわけで、部内に登場したTよみちゃんバンドはかなり強烈でした。曲は中森明菜の「十戒」。なんといっても、いかにも「おとなしい良家のお嬢様然」としていたTよみちゃんが、踊る踊る・・・。特に曲の最後、身体を後ろに弓なりに反らす「イナバウアー」を決めた場面では部員一同拍手喝采。大盛り上がりとなりました。
 O山の最初の動機はかなり不純だったとしても、Tよみちゃんという天性のエンターティナーを世に知らしめたという意味では、O山はかなりいい仕事をしたのでした。