セレスチュアル

 同期のO山のデビューはあまりに鮮烈でした。
 いっしょに入部してきたH尾やY田らと入部後初めての学内コンサートで演奏したのがマイケル・シェンカー。もちろん携えていたのはあの「フライングV」。このような瞬間のO山は、間違いなく自分に酔うことのできる男でした。O山は歌いながらほとんど泣いていたのではないかと思います。しかも場所は教養棟前の土手の上、しかも演奏はしょぼく、しかも聴く人などほとんどいないという状況で・・・。僕は、そんなO山の、あそこまで自分に酔えるナルシスティックなみぶりに大いに笑っ・・・、いや感心したのです。
 表記の曲は、そのO山の手によるオリジナル。僕はこの「セレスチュアル」なるタイトルが何を意味する外国語なのか全然わかりませんが、このクサすぎるタイトルや、歌詞に登場する「クローゼット」等の田中康夫的クリスタルなワーディング、それから何かが憑依したとしか思えない陶酔した歌いぶり、それらすべてを含め僕はO山スタイルの確立を見たのです。なお本人の名誉のために述べれば、この曲のメロディはなかなか秀逸だったような気がします。
 そういえばO山、お前の自慢の画板サイズのエフェクター・ボックスに装丁されていた上等コンプレッサー、今でも借りたままなんだよね。ごめんよO山、許しておくれ。