君が代

 以下はサッカーワールドカップ「日本対オランダ」戦の開会式(?)を観ていた娘二人の会話です。


 姉(11歳)「日本の国歌ってなんかシケるよね〜」
 妹(8歳)「ほんとほんと。なんかテンション下がるよね〜」
 姉(11歳)「ほんとほんと。アメリカの国歌みたいにかっこいい国歌がいいよね〜」


 う〜ん・・・。「シケる」などという意味不明の新語はとりあえず脇に置くとして、やはりこれくらいの年頃では「君が代」という曲の持つ静謐さというか霊妙さを理解するにはまだまだお子ちゃま過ぎるのでありましょう。
 とはいえ、たしかに娘たちが言うように、「君が代」は他国の国歌と比べ、ちょっと地味であるという感は否めません。特にワールドカップのキックオフ直前のような戦闘モード全開の場面で、選手とサポーターが斉唱する楽曲としては、もっとブラスとビートを効かせた曲、アドレナリンの分泌を促すような曲の方が盛り上がるに違いないでしょう。


 では「君が代」にそのようなブラス感・ビート感バリバリのアレンジを施すのは可能なのでしょうか。
 試みにギターでコードをつけようとしたのですが、どのコードで弾いてもなんだかしっくりいきません。なんででしょう・・・。
 ひとつは「君が代」の構成音というか音の力学にあるような気がします。「君が代」に用いられている音は、ド・レ・ミ・ソ・ラ・シの6音。
 それぞれの使用回数は、レとソが10回、ラが8回、ミが7回、ドが4回、シが1回の合計40音という構成になっています。したがって、ほぼキーCの「ヨナ抜き(ペンタトニック)」という音構成になっていて、音の分布、つまり「力学」的にはラやレのような「脇役?」を多用するという不思議な楽曲であることがわかります(曲の終わりもレで終わってるし)。
 だから「君が代」をいくら「ズン・チャ・ズン・チャ」のような派手な2拍子で奏でても、メロディーの半分近くがレやラなど「真打ち(?)」以外の音となっているため、おそらくそれほどにはアドレナリンは分泌しないような気がするのですがどうなんでしょう。


 いずれにしても、あさってのデンマーク戦、日本がんばれ!


※本稿は「君が代」を、純粋に音楽作品のひとつとして論じたものであり(大げさな!)、本稿を通じて何らかの政治的・社会的な主張を行おうというものではありません。もし、本記事を読んで不快に思われた方がいらっしゃいましたらお詫びします。