たしかに”F”には苦労しました

 プロ中のプロギタリストともいえる松原正樹氏でさえ、ギターを始めたばかりの頃は、Fをマスターするのに苦労したとのことです。そのあたりの苦労譚が同氏のhpに掲載されています。 http://www.matsubaramasaki.com/column/?p=4


(以下引用)
それで次に習ったのがFコード。人差し指で1フレットを1弦から6弦まで制覇して、中指、薬指、小指、すべて使う初心者にはチョウ難しい代物であった。
ゆびをフレットに置いてみたけれど、まったく音にならなかった。
悔しい チョークヤシい! いくらやっても ダメ、、ダメ、、ダメ、、、、、
ついに腹が立って割り箸を輪ゴムで人差し指にくくりつけた。
音がでたヤッタ、、、しかしこのままでは身動きとれん!こまった
人差し指の感覚を忘れないようにそっと割り箸をはずし、弾いてみた。
おおっ、ちょっとだがなんとなくコードに聞こえる?いけるかもしれん!
そんな感じで弾ける様になったのだった。
地獄のFが弾ける様になると、そこにはすばらしいことが待っていた。
Fコードというのはすごく便利なコードで1フレットずらすとF#、2フレットだとG、3フレットだとG#というように色々なコードになれるし、中指を離すと
Fマイナー、小指を離すとFセブンというコードに変化する。
これを組み合わせると、歌本に載ってるほとんどのコードが弾けてしまうのだ。
これにより、加速度的にギターの面白さを知ることになったのだった。
(引用終わり)


 そうなんですよねえ。僕もたしかにFには苦労しました。中3でギターを始めたばかりの頃、アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」を弾こうとしたとき、眼前に立ちはだかったのがFでした。それもイントロの決めどころで登場するものだからこれを弾けるようにならない限り、まったくサマにならないどころの話ではありません。
 当時、僕の友人でギターの師匠だったモリ君は、「授業中、入浴中、食事中、とにかく右腕の手首をネックに見立ててFの練習をせよ」とFを克服するための「極意」を伝授してくれたりしたのですが、なかなか簡単にはいきませんでした。
 ところが、弾きたいという一念が岩をも通したというか、マッスルメモリーが働くようになったというか、がんばって何度も練習するうちにだんだんと鳴るようになったから不思議です。
 ギターを挫折した人の大半が「Fで挫折した」という話しをするけれど、たしかにギターをマスターするうえでの最大の分水嶺がFであるといってもいいでしょう。ひょっとしたら、そこをがんばって乗り越えるくらいギターが好きかどうかを試験するために、ギターの神様が用意した登竜門がFなのかもしれません。


 それにしても、あの松原正樹氏でさえ、僕らと同じようにFで苦労したなどという話しを読むと、松原氏がスーパーギタリストたり得るのは、彼が最初からギターの天才的才能を持っていたというよりは、三度のめしよりギターが好きで、寝ても覚めてもギターの練習をして、というような毎日の積み重ねがあったからこそだと思わないではいられません。
 まさに「努力に勝る天才なし」「好きこそものの上手なれ」ということですね。