Dear John

 貧しい懐事情から「ボックス買い」を断念し、「バラ買い」でゆっくりと買い揃えていこうと考えていたビートルズのリマスター盤だったのですが、いざ購入し、聴き始めてみると、案の定、あれも聴きたい、これも聴きたいということになってしまい、結局、発売から3ヶ月で全14枚中11枚購入と、ほとんど「ボックス買い」と変わらない購入ペースとなってしまいました。
 あとは「マジカル・ミステリー〜」と「イエロー・サブマリン」と「レット・イット・ビー」の3枚を残すのみ。とはいえ「イエロー・サブマリン」も「レット・イット・ビー」も既発のリミックス盤(ソングトラックとネイキッド)があるので、今回のリマスター・コレクションも実質的には「マジカル〜」の購入で一段落かなあと考えているところです。
 ただ、オリジナルの「レット・イット・ビー」に収録されている「レット・イット・ビー」のジョージのソロギターも捨て難いし、それから「愛こそはすべて」とか「ヘイ・ブルドック」とかも、オリジナルの「イエロー〜」にしか収録されていないんですよねえ・・・。さらに、あの味のある紙ジャケに同梱されている未発表写真満載のブックレットとか、最新のライナーノーツも欲しいんですよねえ・・・。
 う〜ん・・・。やっぱりこれは残り3枚も買わないわけにはいきません(ほとんどひとりごとでごめんなさい)。


 さて、そのリマスター盤の感想なのですが、ひとことで言わせていただくなら、
「音の粒立ちも分離も、もちろん格段に良くなったけれど、僕が10代の頃から聴きに聴いてきたビートルズとはなんだかちょっと違うかなあ」ということになるでしょうか。
 僕が聴いてきたビートルズはだいたいあんなにいい音はしませんでした。僕にとってのビートルズの「音」は、友達からレコードを借りて、それを家にあった安ステレオで鳴らしながらラジカセの「外部マイク」でテープに録音するという、あまりに単純かつ乱暴かつ原始的な方法で録り貯めたテープの数々でした(線でつなぐという高度(?)な録音方法を知ったのは高校に入ってからでした)。
 だからそのテープには、たとえばおふくろが障子を開けて部屋に入ってくる音とか、茶碗をかちゃかちゃ洗っている音など、当時の我が家の「音の風景」も同時に採録されているのでした。まったく音質も何もあったもんじゃなかったけれど、それが僕にとってのビートルズの音のデフォルト。分離も粒立ちも、もちろん最悪だったけど、中学生だった僕には何の不満もありませんでした。


 今日はジョンが40歳で亡くなってから29回目の命日・・・。いつのまにかジョンの享年を5歳も追い越してしまいました。