「JASRAC排除命令」に思う

 公正取引委員会JASRAC排除命令を出したとのこと。 
 以下、2月28日付の日本経済新聞34ページから引用です(長くてすいません)。


(以下引用)
 テレビ局など放送事業者向けの音楽の著作権管理事業を巡り、他社の新規参入を阻害したとして、公正取引委員会は27日、日本音楽著作権協会JASRAC)に独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を出した。楽曲をいくら使っても使用料が一定率で変わらない契約内容を違反と認定し、使用実績を反映させた料金設定に改めることなどを求めた。
 公取委によると、JASRACはNHKや民放など約550社と「包括的利用許諾契約」を締結。音楽放送事業収入の1.5%を支払えば、管理する数百万曲の自由な使用を求めている。
 公取委は、この契約ではJASRACが管理する楽曲の私用実績にかかわらず、他の事業者が管理する楽曲を使うと「追加負担」が生じる点を重視。放送事業者側に他社との契約を回避させ、新規参入を阻んでいると認定した。
 ・・・放送局側は「全曲報告すると、年間数千万円程度のコスト。現在の経済情勢では厳しい負担だ」と見る。
(引用終わり)


 僕らが「君うた」や「5大学」コンサートを開催するにあたって、避けることのできない運営費用に、日本音楽著作権協会JASRAC)に支払う「著作権料」というものがありました。
 あの著作権料、別に僕らから自主的にコンサート開催や楽曲使用を申請したわけでもないのに、JASRACからきちんと「請求書」が到来するのがほんとうに不思議でした。請求された僕らも「JASRAC」っていかにも権威ありそうな機関だし、スルーするものこわいから律儀に支払っていたのだけれど、金額的にはコンサートあたり数万円と決して軽微ではありませんでした(たしか)。
 あの時感じた不思議さのひとつが、「いったいJASRACはどのような体制でこれだけ小規模な学生コンサートまで補足しているのか」という点。今と違って当時はインターネットなんて便利なインフラはなかったから、コンサートの開催状況を把握するだけでもかなりたいへんだったと思います。きっとJASRACには、調査専任のスタッフがいて、コンサート等の情報収集を行い、楽曲の無断使用を防ぐべく、日々情報収集にがんばっていらっしゃるのでしょう。ほんとうにご苦労なことです。
 たしかに、このような情報収集活動が、音楽家や小説家など、創作を生業にする人たちの生活と権利の保護に資するであろうという点は否定しないのだけれど、一方で、放送局など大量に楽曲を使用するところには「包括契約」などというルーズな徴収しかしてこなかったのかというところに、なんとなく気持ちの片付かなさを感じます。
 JASRACは、今回の排除命令を機にアマチュアから使用料を徴収することについても改めてみてはいかがでしょう。守るべきは音楽文化と音楽家であって、JASRACや放送局の利権ではありません。JASRACには、音楽文化を発展させるという観点から、ブレーキというよりアクセルとしての役割をしっかり果たしてほしい、そう考えずにはいられません。