司馬遼とS間

 津輕が10月10日付のブログで、司馬遼太郎の「菜の花の沖」の感想を述べています。なるほどGoogle Mapを辿りながらの読書とはなかなかおもしろいアイデアです。
 そこで優秀なGoogle関係者の方々へお願い。そのうち、Google Mapにも、現在の機能に加え、たとえば戊辰の頃の京都だとか、フランス革命の頃のパリだとか、いわば「時空を越えた」地図検索機能を追加するというのはどうでしょう。ぜったいヒットすると思うんだけど・・・。


 さて、僕にとって、司馬遼太郎は、RFC時代のバンド仲間、S間との思い出につながる作家です。S間は、僕がRFCに入部して最初に組んだバンド、「セルティブ・ブルース・バンド」のベーシストで、その「現場のおっさん然」としたたたずまいどおり、朴とつで気持ちの優しい男でした。
 あるとき、どうしてもカネがなくなってしまった僕は(ていつもカネなかったけど)、S間に2,000円だか3,000円だかの借金の無心をしたことがありました。それでも僕には数日間の糊口をしのげる大金です。にもかかわらず、S間は「それじゃ足りんさ〜」とかいいながら、ポンと1万円を僕に貸してくれたのでした。しかも、S間は、いつまでたってもその貸し金を催促する気配さえありません。僕もついつい甘えて返済を繰り延べます・・・。
 そんなある日、何かのときに僕がS間に「司馬遼太郎の『竜馬がゆく』はぜったいお勧め。男として生まれてきたら、竜馬のように生きんといかんぜよ」というような話しをする場面がありました。するとS間が「へえ〜っ、おもしろそうさ〜。読みたいさ〜」などというのを幸い、大学入学当初に大枚はたいて買った「竜馬がゆく」全8巻(もちろん文庫)を直ちにS間に贈呈したのでした。
 S間はなんだかけげんな顔をしていたけれど、僕はこれでS間への負債を清算したつもり。「S間、ごめんな。これで勘弁してくれ」と心の中で詫びながら・・・。
 ということで、貸した金を忘れるほどの度量の大きさを持ったS間に、「男なら竜馬のように生きんといかんぜよ」とかなんとか偉そうに訓じながら、借金代わりに古本を渡す、なんとも○の穴の小さい僕でした。
 ごめんよ〜、S間。