おそるべし「Y蔵終止」

「U」のキーボーダー(キーボーディスト?)だったY蔵のアレンジ(というかコード付け)にはいちど感心させられたことがありました。
 僕が5大学用に作った渾身のスローバラード(?)のエンディング、最初のアレンジでは、延々とAm−Fmaj7を16小節ばかし繰り返して「はいAmでおしまい」というものでした。まあ自然といえば自然なんだけど、あんまり普通すぎてなんだか平板な印象でした。
 そんなとき、Y蔵から「ここはEmの9thで終わったらどうか」という提案があり、そのとおり、Am−Fmaj7を数小節繰り返した後、最後にEm9thを響かせたところ、いやあ、来ましたねえ・・・。Y蔵のつけてくれたたった1個のコードが、単調だった曲にたちまち陰影と奥行きを与えてくれたのです。
 ということで、以来、主調の5度で終わるエンディングを、僕は勝手に「Y蔵終止」と命名しているのでありました。


 この主調の5度上で終わるエンディング、たとえばビートルズ(またかよっ)の名曲「アスク・ミー・ホワイ」がそう。キーがEなのになぜかエンディングはB6と「Y蔵終止」になっています。それから、これもビートルズで恐縮なのですが、「ア・ハード・デイズ・ナイト」もそう。キーがGなのにエンディングのコードはDm9thと、「アスク・ミー・ホワイ」と同様に「Y蔵終止」を採用しているのです。


 う〜ん、おそるべし「Y蔵終止」。
 いったいY蔵はいかなる修行を経てこのようなブリティッシュなセンスを身につけたのでありましょう。そういえばY蔵、Uのプロモーションビデオを作ったときに、頭に真っ赤な花を突き刺してオルガンを背負うという、意味不明のパフォーマンスを演じていたけれど、ひょっとしたらあれが、Y蔵が信奉していたかもしれないブリティッシュロック、あるいはフラワームーブメントへのオマージュではなかったのか・・・。20有余年の時を経た今もなお、僕は気になって仕方ないのでありました(てうそだけど)。


 ちなみに、ジョンが作った「アスク・ミー・ホワイ」は、ビートルズ初期の名曲です。ご存知ない方はどうかいちどおききになってください。胸がきゅんとなること請け合いです ↓
http://jp.youtube.com/watch?v=zmPMggVBDSs