男子寮のおもいで(2)格差の底辺を生きる

 1年の頃からあんまり授業には出なかったけど、2年になってさらに教室から足が遠のいた僕は、ほとんど除籍が確実というほどの単位不足に陥ってしまいました。そこで一計を案じた僕は、2年の後期を半年間休学するというソリューションを採用して除籍を回避しようとしたのです。
 ということで、休学の届けを学校に出し、それが受理され、ほっとひと安心していたところ、学校から「君は男子寮に入寮しているが、休学期間は入寮資格を喪失するので部屋の鍵を返還するように」との冷たい通達が到来したのです。「はっ?そっ、そうなんですか」、僕はすっかり困り果ててしまいました。
 そのようなわけで、新築の香りも新しい新男子寮(84年度から首里から西原キャンパスに移転)を僕は退寮することになったのですが、だからといって住むところなどあるはずもありません。
 そこで僕が目をつけたのが寮の共用リビング(最初は部室に住もうかと思ったけどさすがにやめました)。男子寮をご存知ない方のためにご説明すれば、寮は10人(10部屋)を1ユニットとし、1ユニットごとに台所、洗面所、トイレが各1箇所ずつ、テレビやソファーが置いてある共用リビングが2箇所設けてあるという構造になっていました。その2つある共用リビングの1つに、僕はカーペットを敷き、カーペットの四隅にカラーボックスやラジカセなどを配置して、たちまち仮住まいへの引越しが完了。それから半年間そこで生活させていただいたのでした。
 何しろ共用リビングということで、プライバシーのかけらも存在しないというところが難点だったけど、それまで自分が住んでいた部屋の目と鼻の先だし(というより同じスペース)、台所も洗面所もシャワーもばっちり完備されているし、まさにホームレスとなった僕には素晴らしすぎる住環境でした。


 今考えればハチャメチャだけど、当時は別になんの抵抗もなかったし、周りの寮の仲間からも嫌な顔ひとつされることはありませんでした。今、「格差」ということが問題になっているけれど、別にお金や豪邸や地位や名誉なんかなくったって、人と人が微笑み合い、支え合い、助け合う場所さえあれば人は幸福に生きていける・・・。ちょっとロマンティックに過ぎるかもしれないけれど、つくづくそう思っている次第です。


 そういえばもうすぐクリスマス。皆さまにもどうか素敵なクリスマスが訪れますように・・・。