オン・ザ・ジョグ・トレーニング

 プチ自慢話しになってしまって恐縮なのですが、意外にも僕は入試の出来がよかったらしく、入学早々、入学金免除(たしか12万円)というたいそうな臨時収入が舞い込むこととなりました。僕はさっそくそのお金でヤマハの原付スクーター「ジョグ(赤)」を購入、以後はどこへ行くにも僕の足として活躍してくれることとなりました。


 そして迎えた初めての春合宿。RFCのある先輩(A先輩)から「合宿中スクーター貸してくれないか」といわれたので、僕の愛車ジョグをその先輩にお貸しし、僕は合宿にでかけたのでした。
 あれは合宿何日目だったでしょうか。突然、黙想の家の公衆電話にA先輩から電話がかかってき、どうしたんだろうと受話器を取れば、「Y口、申し訳ない。ジョグが盗られた!!」との由。まったくもって人の大事な大事なスクーターを盗むなんて太え野郎がいたものです(汚い言葉でごめんなさい)。

 
 そして春合宿から何日か経ったある日、今度は別の先輩(B先輩)が「おいY口、お前のジョグがあったぞ」と教えてくださったので、さっそく現場に馳せ参じたところ、なんと僕の愛車は道路から3〜4メートル下った場所で見るも無残な姿をさらしているではありませんか。ひと目その壊れぶりを見ただけで再起が不能であることは明確でした。
 ちくしょ〜っ、盗むんなら盗むでいいけど、ここまでめちゃめちゃに壊さなくてもいいじゃないか!と怒りとかなしみで胸が張り裂けそうになっている僕に、そのB先輩は、「Y口、これをバイク屋さんに持っていったらいくらかカネになるぞ」とそれどころではないアドバイス
 あまりの喪失感にダメージを受けていた僕は「どうでもいいです」みたいな返答をしたところ、そのB先輩「それならこのバイクはオレがバイク屋に持っていくけどいいか」ということになったのでした。


 そしてさらに数日後。いきおい部室に現れたB先輩、「おいY口、あのジョグをバイク屋に持ってったら5,000円で売れたぞ。ラッキー!!」とたいへんなよろこびよう。僕に報告「だけ」をくださったのでした。
 

 ああ、かわいそうな僕のジョグ。もしこの一件がなかったらフットブレーキ搭載(?)のオンボロパッソーラなんて乗らず、ちゃんとしたスクーターでバイトとかにも通えたのに・・・。
 かくも「人生とは糾える縄のごとし」ということを僕はまさにこの経験から学んだのでした。これこそまさに「オン・ザ・ジョグ・トレーニング」。
 さえないダジャレでごめんなさい。