バンドの「かけもち」を禁ず

 RFCには「会則」とか「規約」といった明文化されたルールはなかったけれど(たぶん)、僕ら部員の間には「複数バンドのかけもちを禁ず」という掟に近い不文律がありました。
 この点、RFCと交流のあった沖国や沖大はけっこう寛容で、かけもちをやってる人はわりと多かったような気がするのだけど、どういうわけかRFCだけはバンドのかけもちを厳しく戒めていたのでした。普通に考えれば、各パートの弾き手の絶対数にはどうしてもバラツキがあって、その時々の需要と供給がバランスすることなどあるはずがないし、例えばドラムやキーボードが上手に弾ける人はどこのバンドでも欲しいわけだから、多少のかけもちを認めた方が、バンドだって組み易いし、たくさんの部員がハッピーになれそうな気がします。
 それではなぜこのような一見「不条理」な掟がRFCには存在し、頑なに守られ続けていたのか。私見を述べれば、「かけもちを禁じた方が、かけもちを許すよりも、部員に資するから」ということになるでしょう。もしかけもちを認めれば、どのバンドからも声のかからない部員が出てくる可能性は当然出てくるし、かけもちする部員にしたって、複数のバンドに所属するわけだから情熱やエネルギーや時間はどうしても分散されてしまって、かけもちする本人にとっても、彼を招へいしたバンドにとっても、必ずしもハッピーになれるとは限らないでしょう。
 かけもちを禁止することで得るものと失うもの、かけもちを許すことで得るものと失うもの。それらを経験的に比較考量した結果、RFCはかけもちを禁止するというルールを採用することになったのではないでしょうか。いわば「かけもちを禁ず」というルールは、RFCの理念と分かちがたく結びつく禁則だといえるのかもしれません。すなわち、「みんなで制約を引き受け合う」「みんなで不満を分かち合う」とでもいえばいいでしょうか(う〜ん、ちょっと違うかなあ・・・)。
 ところで今はどうなっているのでしょう。ひょっとしたら、かけもち禁止なんて、もうとっくに解禁されているのかもしれないなあ・・・。