War is over,if you want it

 その日、いつものように高校から帰宅した僕は、いつものように夕食を食べながら、いつものように古谷綱正氏がキャスターを務める「ニュースワイド」をぼおっと眺めていました。「こんばんは、古谷綱正です」。
 すると突然、画面の肩にジョンの顔写真が映し出され、古谷氏の表情がたちまち沈痛な面持ちに変わったかと思うと、告げられたのは最悪のニュース。「元ビートルズのジョン・レノン氏がアメリカ・ニューヨーク市の自宅マンション前で拳銃で撃たれ死亡しました。犯人は・・・」。
 「えっ?ジョンが死んだ?けんじゅう?うそっ?なんで?・・・」。頭は真っ白になり、思考は停止し、僕はただぼう然とテレビをながめるばかり。


"Cold turkey has got me on the run・・・” 


 いつの間にか切り替わった画面の中でジョンが歌っていた「コールド・ターキー」、その絞り上げるような声を今でも忘れることができません。
 ジョンの遺作となった「ダブル・ファンタジー」を小遣いはたいて買った直後の出来事。1980年12月8日。僕はまだ16歳でした。