野外ステージのおもいで(1)

 '83年〜84年の琉大祭では、僕らはメイン会場とは別に、図書館前に野外ステージを組み立てて、期間中の夜はそこでコンサートを開くということもやっていました。
 この野外ステージというのが、幅10メートル×奥行5メートル×高さ1メートルはあろうかというなかなかの本格派、構造としては工事の足場などに使われている鉄パイプ製の骨格に木の梁を通し、最後にタテ1.5メートル×ヨコ0.5メートルくらいの木製のパネルを数十枚敷いて完成というものでした。
 だいたい野外ステージなんて正味数時間しか使わないのだから適当に作ればいいような気もするのだけど、そこは「凝り性」ぞろいのRFC、メイン会場作りや練習など、ただでさえクソ忙しい時期にもかかわらず、この本格野外ステージづくりも決しておろそかにはしないのでした。
 おろそかにしないどころか、たしかあれは琉大祭前のある晩のこと、僕ら1年生はワケもわからないままトラックに載せられ、向かった先の真っ暗な資材置き場で、先輩から指示されるがままステージの建材となるパネルや鉄パイプの積み込み作業をさせられたことがありました。手許もおぼつかないほど暗い資材置き場で数人の人間が黙々と建材を積み込むさまは一種異様な光景ではなかったかと思います。
 今考えると、あれはどう考えてもしかるべき手順・手続きを踏んでの取得行為ではありませんでした。ひょっとしたら僕らはあの瞬間単なる窃盗団と化していたのかもしれません。
 あれから20有余年、法律のことはよくわかりませんが、あの時僕らが罪を犯したとしてもおそらく「時効」が到来しているのではないかと推察します。したがって僕は、ここに取得の経緯を示すとともに、このようなわけで僕は単なる善意の第三者なんですよということを主張しつつ、ついでに首謀者は僕らをトラックに載せた先輩なんですよということもチクリつつ、当時の建材所有者さまへの謝罪と感謝の気持ちを記したいのであります。
 所有者さまへ。若気の至りとはいえほんとうに申し訳ありませんでした。おかげさまで立派なステージを建立することができました。僕が申し上げるのもなんですが、所有者さまのお持ちだった建材は「がめられた」のではありません。琉大祭の野外ステージという祭壇に奉納された尊い寄進物であったのです。したがってあなたさまの功徳は未来永劫にわたってRFC関係者に語り継がれ、讃えられることとなるでしょう。
 えっ?讃えられなくていいから建材返せ・・・? で、ですよね。ほんとうにごめんなさい。