コードになった祈り 〜 Ⅳm−Ⅰ

 コード話しのついでに、僕が最も気に入っているコード進行というか終止形をご紹介。それはとてもシンプルな、「Ⅳm−Ⅰ」という進行。いわゆる「サブドミナントマイナー終止(間違ってませんか?F原教授)」ってやつです。
 とりたてて、めずらしくも何ともない進行だけど、僕はこの進行における響動が大好きです。なぜなら、この進行は、以前、本ダイアリーでご紹介したN島さんの大傑作、「スロー・バラード」のエンディングに、用いられていたからなのです。
 ゆっくりとフェードアウトしていくI村さんのうたうようなギターを、やさしくつつみこむようにS吉がピアノとシンセでたっぷりと響かせたのがこの終止形。なんてせつなくて、なんて美しい終わりかたでしょう・・・、僕はきくたびに胸がきゅんとなるのでした。
 ビートルズの「レット・イット・ビー」における「Ⅳ−Ⅰ」進行を「アーメン終止」というならば、この終止もサブドミナント(Ⅳ)がサブドミナント・マイナー(Ⅳm)へとほんのわずかに代わっただけ。アーメン終止である「レット・イット・ビー」の終止形「Ⅳ−Ⅰ」を「祈りになったコード」というならば、「スローバラード」における終止形「Ⅳm−Ⅰ」は「コードになった祈り」といえるのではないでしょうか。
 以来、何の曲であれ、僕があそびでギターやピアノをてきとーに弾くときは、その曲がドラマティックであればあるほど、僕はこの終わり方を多用するようになりました。だってせつなくて気持ちいいんだもん・・・。
 コードになった祈り〜Ⅳm−Ⅰ、みなさまもぜひお試しあれ。