F原さんの横森良造的名人芸

 偉そうなことを8/8の日記で述べてしまいましたが、かくいう僕も、耳の悪さでは、恥ずかしながら人後に落ちません。だからあんな偉そうなことを言えた義理ではないのです。実は僕自身、ずいぶんタブ譜にはお世話になったし、AmでもAm7でもそんなに変わらないような気がするぐらい、いい加減な耳しか持っていないのです。
 だから僕は、耳コピが出来る人を限りなく尊敬します。たとえば、ビートルズサウンド分析本を出されているチャック近藤氏が、その分析本の中で、「J・レノンはGのコードを押さえるとき、ローコードにおいては必ず左薬指で2弦3フレットのDの音を出している。ハイコードにおいては左小指で2弦5フレットのEの音を出している」というようなことが書かれていると、チャック氏のような人に備わっている耳が、僕には「神の耳」に思えたりするのです。たしかに、本で述べられているような押さえ方で、たとえば「キャント・バイ・ミー・ラブ」のGの部分をかき鳴らすと、たしかにあのビートルズに近い響きが出るのだから不思議。余談ながらビートルズってほんとに6度の音(コードがGの時にEを鳴らすみたいな)が好きなのよねぇ。6度を鳴らせばビートルズなんてね・・・。
 さて、琉大フォークソングクラブ(RFC)においても、「よき耳」をお持ちの方はもちろんたくさんいらっしゃったけど、代表的なのはF原さん。そのコンパにおける伴奏芸には定評がありました。どんな曲でもみんなが歌い出せば、その調性に合わせてギターをじゃっこんじゃっこんと弾き出すのだからあれはほんとうにお見事というしかありませんでした。このような芸が身につくのも、ひとえにその耳のよさがなせる技だったのではないかと思うのです。
 感心したのは、春合宿のときに、合宿期間中に、任意のメンバーで班をつくって、その班で任意の曲をコピーして披露するという企画があったときに、F原さんたちの班がわずか数日間でB・ジョエルの「ロンゲスト・タイム」を見事に音取りしたこと。アカペラの各パートを1音1音聴き取るなんて芸当は、とても僕にはできません(というか2音でも僕にはムリ)。あれは班長であるF原さんの「耳力」が成した奇跡の技といえましょう。
 このように、F原さんはRFCにおける「横森良造」的ポジションを確固として揺ぎなく確立していたのでありました(なに?横森良造をご存じない?こりゃまた失礼いたしました)。