犬を食べられたK花

 K花は僕の次に部長を務めた宮古出身のナイス・ガイ。そのK花がコンパの時に次のようなエピソードを語っていたのでご紹介。
 彼は小学校時分、家で飼っていた犬をそれはそれは可愛がっていた。ある日、学校から帰ると夕餉の支度を始めた台所からはことのほかいい匂い、その日の夕食は「鍋」だった。あまりの美味さにK花はそれをぺろりとたいらげ、さて犬と遊ぼうかと庭へ出た。
 すると・・・、いつもK花を見ると元気にかけよってくる犬がいない・・・。「どこに行った?」、「・・・」、「・・・」、「・・・」。必死に探しているK花に、お父さんだかお母さんだかはそっと打ち明けた。その日の鍋の「具」を・・・。
 そう、これまでも、これからも、僕たち人間は、他の命を奪うことで命を永らえる、ほんとうに業の深い生き物なのです。僕たちがその夜、K花のために「ドナドナ」を捧げたのはいうまでもありません。