F原さんとYちゃん先輩のコミュニケーション

 G堅さんの次に部長を務めたF原さんは、学校で哲学を専攻していたこともあって、RFCには珍しい「インテリゲンチャ」であったといえるでしょう。ところがこの哲人F原さんの「理詰め」のアプローチ、男子部員には有用であっても、時にYちゃん先輩にかかるとそれが不思議と「仇(あだ)」になってしまうことが多かったように思います。
 二人の会話の詳細は忘れてしまったけれど、あえてデフォルメするなら、概ね以下のように展開するのでした。

●F原さん「AがBで、BがCなら、AはCとおんなじということになるさあ〜」
●Yちゃん「えぇっ、 AはBなんだからCにはならないでしょ?」
●F原さん「いや、だからさっきから言ってるように、AがBで、かつBがCなら、当然AはCということになるんじゃ・・・」
●Yちゃん「T気の言うことはわからない!」
●F原さん「あい〜っ、Yちゃ〜んごめ〜ん、おこらんでぇ」
●Yちゃん「なんで謝るの?謝る理由がわからない」
●F原さん「あ、あい〜、ごめ〜ん、飲みま〜す」
●息をのんで見守っていた周り「オール!オール!」
●Yちゃん「もーっ、ぷんぷん(とか言いながら笑ってる)」

 以上のように、F原さんとYちゃん先輩との間には、不思議とコミュニケーション・ギャップが生じてしまうのでした。哲人F原さんが、この不可思議な事象について、その後考察を重ね、アウフヘーベン(?)の域に達したかどうか、僕の知るところではありませんが、少なくとも、周りで聴いている僕らにとって、二人の会話はエキサイティングで、楽しくて、微笑ましかったのだったのです。
 ひょっとしたら、これはこれで二人にとってのコミュニケーションの在り様だったのかもしれませんね。いずれにしても、「メッセージを発信するという行為において、最優先に配慮すべきことは、そのメッセージが『正しい』ことではなく、『聞き手に届く』ことである(by内田樹)」ということは、まごうことなき真実のようです。