ギター入門者が”Fコード”で挫折するのはギターが原因(!?)

 週末に読んだ椎野秀聰著「僕らが作ったギターの名器(文春新書)」に、ちょっと意外なことが書いてありました。
 フォークギターが売れに売れた60年代後半から70年代前半のフォークブームには「功」と「罪」の両面があったとしたうえで・・・、


(以下引用146p〜147p) 
 さて、「罪」の方はあまり語られることがないが、記しておきたい。
 (略)ともかく300万本以上の「丸孔(フォークギターのこと)」が売れたのだ。その中には、本当に音楽に興味を抱いてギターを始めた少年少女も少なからずいたはずである。そうした潜在的なギターファンに応えるだけの品質を持ったギターが、あの時代にどれだけあったのかを考えると、暗澹たる気持ちになる。
 ギターとは、たとえそれが入門者向けの低価格品であっても、弾きやすくバランスを考えて作られてさえいれば、十分に楽しめる楽器だ。しかし、音響や演奏性を度外視していい加減なつくりをされたギターは、プロが弾いても音が出しづらい厄介な代物だ。「Fのコードが押さえられなくてギターは諦めました」、そんな話を聞かされると、本当に悲しくなる。適正な弦高とテンションに調整されたギターで少し練習すれば、Fコードは誰でも押さえられる。そうでなければ、ギターにどこか問題があるのだ。
(引用終わり)


 う〜ん。一流のギター職人である椎野氏の言葉だけに説得力があります。
 たしかに僕が30年来弾いているモーリス製のフォークギターも、経年疲労のせいか最近Fが押さえづらくなりました。もし今の状態で、ギターを始めていたら、とっくにFで挫折していたかもしれません。つまり僕の出会ったモーリスのギターは量産品ではあったけれど、粗悪品ではなかったということなのでしょう。
 そう考えたら、30年来の相棒であるモーリスギターが急に愛おしくなり、さっそく昨日、弦を新しいのに張り替えてやったところです。




 週末、家事と育児(?)の合間を縫ってBOSSのJS8でバタバタとこしらえた音の断片です。



マザー・ネイチャーズ・サン(メロとギター)





ドライブ・マイ・カー(ギターソロ)





アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア(ギター・ソロ)





ノーウェア・マン(ギター・ソロ)