錦会のテープをきく

 O田さんに送っていただいたテープの中から、錦会が1983(昭和58)年のJanJanに出演したときのライブ演奏をきく・・・。
 

 はあ〜(嘆息)・・・。20有余年ぶりにきくM美さんの歌声、F原さんのコーラスとギター、N越さんのベース、O田さんのドラム、サポートメンバーのM弓さんのシンセ・・・。ノイズだらけの音楽の向こう側に、鮮やかにあの頃の日々がよみがえります。このテープにはたしかに「青春」が詰まっています。希望や挫折、自分への過信や不信など、青春時代特有の雑多でまとまりのつかないものが、そのまま詰め込まれたような風情です。


 考えてみれば、あの頃のM美さんはまだ22歳か23歳、齢も不惑を過ぎた今の自分に比べればくちばしの黄色い小娘同然ではありませんか(ごめんなさい)。にもかかわらず、今きいても、当時1年生だった僕がM美さんに感じた圧倒的に大人な雰囲気そのままのイメージです。これはおそらく才能だけが成せる業ではなく、M美さんの生きてきた人生が、そのまま歌に投影しないではいられなかったたからでありましょう。要するに、M美さんは単に「歌の歌い方」がうまいだけではなく、「歌のうまい」歌い手であった・・・、そう改めて感じ入った次第です。
 これになぞらえてさらに贅言を述べれば、最近、やたら登場しては消えて行くたくさんの泡沫歌手たちに不足しているのは、まさにこの点ではないでしょうか。彼(彼女)たちは「歌の歌い方」はうまくても、決して「歌がうまい」わけではありません。前者には「感心」することはできても、決して「感動」することはできないのです。この点、昭和の歌手はその生きてきた時代背景というアドバンテージを、平成の歌手に比べ若干有しているのかもしれません。


 それにしてもMCのF原さん(当時2年生)、声はやたら若いけど、すでに語りにおけるF原スタイルをほぼ確立しつつあるのが印象的です。それからN越さんが曲中の余興でへんな踊り踊っているみたいだけど、テープだからわからないのが残念です。