いいアンプといいギターどっちが欲しい?

 「いいアンプといいギターと、どっちが欲しい?」。
 これは沖国祭か何かのコンパの際、沖国ニューミュージッククラブの同じ年次のギター弾き(名前失念)から問われた言葉です。
 彼の悩み方があまりに真剣だったので、「う〜ん、むずかしいねえ」などと適当に応答したところ、彼は「だろっ、だろっ、ほんとむずかしいだろ、おれ悩んでるのよ」などと、まさに我が意を得たりという感じだったのが印象的でした。
 彼はそれはそれは上手にギターを弾く男だったけれど、さすがギターの腕前が常人の域を超える人は妙ちくりんなことで悩むものです。僕ら凡人からすれば、ギターかアンプかというようなことを二者択一で考えること自体無理があるように思うし、要は両方のバランスでしょ、程度の考えでノープロブレムなんだけど、やっぱり白黒はっきりしないと気持ちが片付かなかったのかなあ・・・。
 そういえば、6歳の娘がよく僕に「こっちとこっちどっちがいい」ときくことがあるのだけど、僕が「両方いい」と答えることを娘は許しません。「だめだめおとーさん、ちゃんとどっちか答えて!」と必ず迫られることになります。
 これを踏まえれば、白黒はっきりさせるというのは、一見切れ味があって、いかにも決断している感じがするけれど、ひょっとしたら、それはまだまだ成熟の足りない子供のふるまいに過ぎないのかもしれません。白と黒との間に存在する微妙な「灰色」のグラデーション、そのあわいを感知できるかどうかが大人と子供の分水嶺である、というのはやっぱり暴論かなあ・・・。